みはるの絵本箱

5歳と4歳の兄弟に読み聞かせしてきた中から、面白かった絵本を紹介します。

スポンサーリンク

【絵本】水木先生ご逝去に寄せて「ねないこだれだ」

こんにちは、みはるです。 水木しげる先生が亡くなられてしまいました。

私は10年ほど前に、京極夏彦先生目当てで行った「世界妖怪会議」というイベント(すごいネーミングですよね)で、遠目に水木先生を拝見したことがあります。
水木先生はすでに仙人じみた風格で、永遠にご存命でいらっしゃるようなイメージを持ちました。でもそんなことはないんですよね。

おばけがこわいは正しい

以前、おばけのような嘘を使って子供を脅かすことはしないんだ、と話すママ友がいました。でも私は真逆の考えを持っています。

子供のうちにこそ、おばけの怖さをしっかり知っておくべきだと思うんです。

暗闇はこわい。

何がいるかわからないからこわい。何が起こるかわからないからこわい。

そのこわさは小さいときほど強烈に感じます。ちなみに私自身、夜に1人でトイレに行けなかったクチです笑

でもその本能的なこわさこそ、とても大切だと思うのです。

こわいもの知らずのこわさ

私が高校の教師だったとき、いちばん危なっかしいと感じたのは、怖いもの知らずの子です。たかをくくってしまって、大人をこわがらない、社会をこわがらない、将来をこわがらない。

ほんとは人間や社会こそこわいのに。先が見えないからこそ、準備しなければいけないこともあるのに。

いくら生意気ざかりの年齢とはいえ、結果それでは済まないこともあります。
でもこういうことは大きくなってから理屈で教えるものでもない気がしました。

おばけや妖怪は、見えない不安や怖れの具現化です。それを幼いときにしっかり怖がることが、やがては見えない将来に向かい合う力になるんじゃないかと思うんです。

そんなわけで、うちでは夜9時をすぎるとおばけの時間です。寝ないで遅くまで遊んでいる子は、おばけの世界に連れていかれるよ〜。

おばけはいつもひとりぼっちでさみしいから、夜遊んでる子を見ると仲間にしたくなって、おばけの国に連れていっちゃうんだよ、でもおばけの国はいつも夜で何も見えないから、もう自分のおうちに戻れなくなっちゃうんだよ、二度とお父さんお母さんに会えなくなっちゃうんだよ。おーこわい。笑

この設定の原点、わかる方はもうおわかりですよね。

ねないこだれだ

夜になっても寝ない子は、おばけになって飛んでいけ…。

この絵本、シンプルだけどこわいです。 なんせ主人公の男の子、おばけに連れていかれたまんま、戻らずお話が終わりますからね!
出てくるおばけの絵も、コミカルなのに目が据わっててこわい。

ちなみに、Googleで「ねないこだれだ」と検索すると、他の検索候補としてねないこだれだ トラウマ」が表示されちゃう。笑

でも実際は、2歳くらいから読んでいるうちの子たちは特別トラウマにはなってないので、ご安心くださいね。

嘘と真実は背中合わせ

そもそも、夜遊びしてたらおばけに連れていかれるよ、というのは、おばけを「こわい人」に置き換えたら、そのまま子供に教えておかなければいけないことですよね。

おばけは、恐ろしいものの象徴。 古くから伝わる虚構には、少なからず真実が隠れているものです。

そして、見えない闇にこそ、想像力の源があります。闇なくして光なし。

見えないものを信じる力も、そこから生まれるのでしょう。


水木しげる先生のご冥福を祈ります。
先生が蘇らせてくれたたくさんのおばけたちは、これからも長く私たちの胸に生き続けることでしょう。
ありがとうございました。